ミネラル島の大冒険 ・8 ~リン編~

我々人間に必要不可欠なのに、今や絶滅の危機に瀕しているモノたち——

それがミネラル族である

知られざる彼らの生態を探るべく、我々はミネラル族が暮らす「ミネラル島」に上陸した…

 

ミネラル島の大冒険・8 ~リン編~

【調査7日目】

 

島へ上陸して、すでに1週間がたとうとしている

 

カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン……

どのミネラル族も我々を温かく受け入れ、調査にも協力的だった

さらに驚くべきことに、彼らの社会にはヒトと同じく、しっかりとしたコミュニティが存在していたのだ

 

とはいえ、隊員たちはやや探検に飽きてきた様子(けしからん!)

私は彼らにボーナス査定の上乗せをチラつかせ、島の中心部へと進むことにした

 

しばらく歩くと、広大な草原が目の前に広がっていた

牛や羊がのんびりと草を食み、その姿に隊員一同、心癒される

 

周囲には大豆やそら豆の畑が広がり、牛舎のような建物では牛乳が搾られている

隣の建屋ではチーズやヨーグルトなどの乳製品が作られており、まるで“ミネラル牧場”とでも呼びたくなる景色だった

 

そこには多くのミネラル族が働いていた

「さて、ここの一族は一体…?」と観察していると、ふと目に入ったのが

“P”と大きくプリントされたTシャツ

 

カルシウム族に匹敵するそのミネラル数と存在感

——そうか、彼らはリン一族に違いない!

 

リン一族は、ミネラルの中でもカルシウム族に次ぐ大所帯

その数、なんと!ヒトの体重の約1%を占めているという

 

つまり、我らが総本部のにゃいす司令官様の場合、およそ800gものリン族を体内に抱えていることになる

さすが司令官、器が大きいだけでなく、密度も高いのだ

 

また、リン一族はカルシウム族やマグネシウム族と古くから深い関係を持ち

その85%が婚姻関係を結び、骨や歯の形成に携わっているという

 

残りのリンたちは、体内のあらゆる細胞にひそみ、

エネルギーの貯蔵や遺伝情報の伝達など、生命維持に欠かせない任務を遂行しているそうだ

 

——見えないところで、黙々と働く縁の下の力持ち

そんなリン族に、私は心の中でそっと「ありがとう」とつぶやいた

 

そして、次なる出会いを求め、我々はリン族の集落を後にした

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