ミネラル島の大冒険・17 ~コバルト(コバラミン)編~

我々人間に必要不可欠なのに、今や絶滅の危機に瀕しているモノたち——

それがミネラル族である

知られざる彼らの生態を探るべく、我々はミネラル族が暮らす「ミネラル島」に上陸した…

ミネラル島の大冒険・17 ~コバルト(コバラミン)編~

【調査16日目】

 

長きに渡る(たった半月だが…)ミネラル島での任務も、いよいよ最終章

我々調査隊は、島の北東部に位置する、赤く染まる谷へと向かった

 

谷に入ると、真紅の旗を掲げたミネラルたちが行進していた

隊員の一人が「おおっ」と声を上げる。

「赤い……!あれはまさか、赤血球の補佐官たちでは!?」

 

そう、彼らこそコバルト族

赤血球の生成に欠かせない「ビタミンB12」の中心核にいて、まさに生命の赤を支える存在なのである

 

出迎えてくれたのは、行進を先導していたコバルト隊長

ビタミンB12部隊の一員として、骨髄や神経の前線で活動しているという

 

「我々は微量ながらも、赤血球の生産と神経の健康、どちらも担っております

いわば“鉄の影武者”、そして“神経の静かなる護衛”—それが我らの宿命です」

 

彼らがよく住んでいるのは、動物性の食材たち

 

・ レバー、赤身肉、魚介類(サバ、サケ、アサリなど)

・卵やチーズ、牛乳などの乳製品

・発酵食品の一部(納豆など)

 

コバルト隊長は、静かに付け加えた

「植物には我々はほとんどいません…。だからこそ、菜食の方は注意が必要です。B12の補給を忘れずに」

 

我々がテントに戻ろうとしたとき、隊員の一人が言った

「なんかこう…姿は小さいけど、背筋の伸びた、誇り高きミネラル達だったな…」

 

私もうなずき、最後の記録を記す

“コバルト族は、ヒトの命に赤を灯し、神経に静けさをもたらす存在

沈黙の英雄と言えよう…”

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これで我々の任務は全て完了した

この島では様々なミネラルに会い、その生き方責任感に感銘を受けることも多かった

普段は姿かたちも見えず、その存在すらも感じることは難しいが

我々の体内で、確かに彼らミネラルたちは生きているのだ…

 

ミネラル島の大冒険・完

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