ミネラル島の大冒険・17 ~コバルト(コバラミン)編~
- 2025/1/23
- ビタミン・ミネラル
我々人間に必要不可欠なのに、今や絶滅の危機に瀕しているモノたち——
それがミネラル族である
知られざる彼らの生態を探るべく、我々はミネラル族が暮らす「ミネラル島」に上陸した…
ミネラル島の大冒険・17 ~コバルト(コバラミン)編~
【調査16日目】
長きに渡る(たった半月だが…)ミネラル島での任務も、いよいよ最終章
我々調査隊は、島の北東部に位置する、赤く染まる谷へと向かった
谷に入ると、真紅の旗を掲げたミネラルたちが行進していた
隊員の一人が「おおっ」と声を上げる。
「赤い……!あれはまさか、赤血球の補佐官たちでは!?」
そう、彼らこそコバルト族
赤血球の生成に欠かせない「ビタミンB12」の中心核にいて、まさに生命の赤を支える存在なのである
出迎えてくれたのは、行進を先導していたコバルト隊長
ビタミンB12部隊の一員として、骨髄や神経の前線で活動しているという
「我々は微量ながらも、赤血球の生産と神経の健康、どちらも担っております
いわば“鉄の影武者”、そして“神経の静かなる護衛”—それが我らの宿命です」
彼らがよく住んでいるのは、動物性の食材たち
・ レバー、赤身肉、魚介類(サバ、サケ、アサリなど)
・卵やチーズ、牛乳などの乳製品
・発酵食品の一部(納豆など)
コバルト隊長は、静かに付け加えた
「植物には我々はほとんどいません…。だからこそ、菜食の方は注意が必要です。B12の補給を忘れずに」
我々がテントに戻ろうとしたとき、隊員の一人が言った
「なんかこう…姿は小さいけど、背筋の伸びた、誇り高きミネラル達だったな…」
私もうなずき、最後の記録を記す
“コバルト族は、ヒトの命に赤を灯し、神経に静けさをもたらす存在
沈黙の英雄と言えよう…”
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これで我々の任務は全て完了した
この島では様々なミネラルに会い、その生き方責任感に感銘を受けることも多かった
普段は姿かたちも見えず、その存在すらも感じることは難しいが
我々の体内で、確かに彼らミネラルたちは生きているのだ…
ミネラル島の大冒険・完