MK_Academy

我々人間に必要不可欠なのに、今や絶滅の危機に瀕しているモノたち——

それがミネラル族である

知られざる彼らの生態を探るべく、我々はミネラル族が暮らす「ミネラル島」に上陸した…

ミネラル島の大冒険・16 ～クロム編～

【調査15日目】

 

我々の島での調査も、いよいよ終盤戦だ

「休みたい…」だの「おうち帰りたい…」だのと言う

隊員たちのブーイングも聞き飽きてきたところで、島の中心部にある市場地区にやってきた

果物、野菜、香辛料、雑穀……にぎやかで食欲そそる香りに、隊員たちの目も輝きを取り戻す

 

そんな中、どこかビジネスマン風のミネラル族たちが忙しそうに働いているのを発見した

胸元の名札には、きらりと「Cr」の文字

 

私はこっそりとカバンの中から周期表を取り出した

Cr、Cr…あった、クロムだ！

 

隊員たちはクロムを思い出せなかったようだ

私は意気揚々と言った

「さあ、クロム族とご対面と行こうじゃないか」

 

「ようこそ、我々クロム族のエリアへ」

迎えてくれたのは、快活な笑顔のクロム課長

彼らは、血糖値管理を担う“インスリン補佐係”として、糖代謝現場を支えているとのこと

 

「インスリンさんが“血糖よ、細胞に入りなさい”と号令を出したとき、

我々クロム族が背後からサポートして、命令がスムーズに届くようにしてるんですよ」

 

つまり、クロムはインスリンの働きを助け、血糖値をコントロールしやすくする重要ミネラル物！

現代人には、特にありがたい存在である

 

「食事、特に精製されたものばかりだと、我々の出番が減っちゃうんです」

課長がそう言いながら案内してくれたのは、市場のクロム族がよく集まるエリア

 

・全粒粉パンや玄米、雑穀類

・ブロッコリーやジャガイモ、インゲン豆などの野菜類

・レバー、牛肉、鶏肉、魚介類（特にハマグリや牡蠣）

・香ばしい黒胡椒やビール酵母　などなど

 

「お菓子や白パンばっかり食べてると、我々クロム族の出番は減っちゃいますからね！」

課長はウィンクして、市場の屋台へと消えていった

 

隊員の一人が、満足そうに玄米おにぎりを頬張りながら言う

「血糖コントロールって、大事なんすね…」

 

私は小さくうなずきつつ、調査メモにこう記した——

“クロム族は、血糖を整える陰の立役者にして、現代人の味方”

 

食べすぎや血糖スパイクに悩むヒト社会には、彼らの応援が欠かせないのだ